最近、世間を騒がすフォルクスワーゲンのディーゼルの不正問題。新聞やWebで色々と書かれているが、特殊なソフトである組み込みソフトウェアの開発を熟知した人の記事は見当たらない。ちょっと、忘却録代わりに書いておこうと考えた。

 自動車のエンジンをコントロールするソフトウェアは一般のPC用アプリケーションとは異なり、一般の人が触ることの無い、組み込みソフトウェアと呼ばれるものであるが、最近のエンジンコントローラユニットは600万行~1200万行程度の膨大なソースコードから成り立っている。規模感が掴みにくいが、一昔前の銀行のメインコンピュータ以上のソフト規模になっている。当然、命にかかわる車のエンジンを制御するために、一般のソフト以上の厳重な開発工程を経て作られている。従って、個人レベルで今回の不正に関わるような悪事を組み込むことは不可能に近い。
 もう少し、暴走気味に踏み込んで書くなら、単一の企業で出来るレベルを超えている。電装品専門企業の協力無しに組み込むことは現実的には不可能では?と思われる規模である。そうなると、事件は広がりを見せるが、言えることは、今回の問題がフォルクスワーゲン以外に納入している電装専門企業のコントローラでは不正が見つかっていないというのも事実である。

 背景は、調査が進めば色々と解明されると思うが、ソフトウェア開発のエンジニアはハードウェア、メカニカルな不具合を最終工程でカバーすることを余儀なくされる弱い立場にいる。どうしても、最終工程まで改変が可能なのがソフトウェアなので、極端な話、工場の生産ラインに乗っている最中でも改変が可能という柔軟性を持っているが故の悲劇でもある。日程的にも、余裕があるわけでもなく、胃に穴が開くようなストレスにさらされることが多い。

 ただ、どんな厳しい状況でも、ソフトエンジニア、特に、組み込み系のエンジニアには絶対にやってはならない掟がある。市場に出た後は、比較的解析されにくい(オープンソースでもなければ、解析ツールがあるわけでもない)ことを理由に、不正を仕込んではいけないということだ。これは、最低限のルールであり絶対のルールとなる。これが守られなければ、製品の寿命を勝手に決めたり、電気を消費させたりと何でも出来てしまう。だからこそ、絶対にやってはいけないというルールである。(不具合はなかなか0にはならないのは理解するが・・・・) これを破った、今回のエンジニア達に私は一切の同情をするつもりはない。意図的に仕込んだ悪事と、想定外のバグによる不具合は全く異なるためだ。可能であれば、二度とソフト開発には関わってほしくない

 さて、我が家はフォルクスワーゲンは夫婦合計で5台乗り継いできた。ポロからパサーとまで一通りを乗った計算になる。今でも、地味ながら質実剛健な考え方は好きではある。まあ、今回も可愛い??サインがインパネに表示されてディーラーに行ってきた。

 GTI用のエンジンはオイル減りが当たり前となっている。私のパサーとでは半年に一度でこのランプが点灯する。慣れたもので、ディーラーに出かけて「定期的にオイルランプが点灯したら補充してください」と言えば、相手も慣れたもので、笑顔で対応してくれる。気になる人は不満だろうが、このエンジンは、オイル喰いではあるが、5万キロ毎のある部品を交換すれば、多少荒っぽく使おうが全く不具合は生じない。ただ、この野蛮さを嫌がり不良品と言う人も多々いるそうである。

私の車には、リアウィンドウに自作でこの様なステッカーを貼ってある。 メーカーチューンの今の愛車に経緯を評してのことである。こんなワーゲンマニアもいるので、何とかしてほしいと考えている。

 以上、自分への忘却録をかねての記述。

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